校長室から 2025 / 01 / 31

小学校での「Spelling Bee(スペリング・ビー)」コンテスト

小学校での「Spelling Bee(スペリング・ビー)」コンテスト

昨日、小学校で「Spelling Bee(スペリング・ビー)」コンテストが開催されました。スペリング・ビーとは、単語の綴りの正確さを競う競技です。例えば、司会者が「January」と言うと、競技者は「J-A-N-U-A-R-Y」と正確にスペルを言ったり書いたりして、その正確性を競います。ウィキペディアによると、アメリカではスペリング・ビーは国民的人気の競技であり、各地の大会を勝ち抜いた少年少女が競う全米大会はテレビで生中継されるほど注目を集めているそうです。

 

なぜスペリング・ビーが成り立つのか?

英語の綴りの正確さを競うスペリング・ビーがゲームとして成立するのは、英語の綴りを正しく書くことが非常に難しいからです。例えば、日本語の「ひらがな」を覚えた子どもは、それを組み合わせて無限に近い単語を作ることができます。「や」と「ま」を組み合わせれば「やま(山)」になりますし、「み」「か」「ん」を組み合わせれば「みかん」になります。一度、ひらがなの文字を覚えれば、読める単語が増えていくのが日本語の特徴です。しかし、英語はそう簡単ではありません。たとえば、A(エイ)という文字が読めても、”Apple”(アップル)が読めるとは限りません。英語のアルファベットの名前と発音は異なり、”Apple”の「A」の音は「エイ」ではなく「ア」です。また、”Cool”(クール)の「C」は「ク」と発音しますが、”City”(シティ)では「シ」と発音します。このように、英語の綴りと発音の関係は複雑であり、単純なルールでは習得できません。

 

英語の綴りは世界でも難しい?

アルファベットを使用するヨーロッパ14カ国の小学校1年生を対象にした読解調査(単語を見て意味が理解できるか)では、英語以外の言語(フランス語やスペイン語など)を母語とする児童の正答率は87%であったのに対し、英語を母語とする児童の正答率は34%にとどまりました。つまり、英語の綴りはアルファベットを使う言語の中でも特に習得が難しいのです。そのため、英語を母語とする人にとっても正確に綴ることは容易ではなく、アルファベットを母語としない日本の子どもたちにとってはさらに難しいものだと言えます。

 

日本の学校では珍しいスペリング・ビー

日本の公立学校ではスペリング・ビーのコンテストはほとんど行われていません。しかし、アミークスでは毎年このコンテストが実施されています。今回は。小学2年生が tourist, internet, favorite, future, advertisement, suspicious, audience, vicious, environment, prediction など、大学生でも間違えそうな英単語をすらすらと綴っていました。高学年になると、novella, genres, tableau などの単語も出題されていました。私は初めてこのスペリング・ビーを参観し、そのレベルの高さに驚かされました。

 

それ以上に感動したこと

しかし、それ以上に私を驚かせたのは、コンテスト終了後の児童たちの姿でした。コンテストで失格になり涙を流す児童のもとへ、級友たちが駆け寄り、そっと肩に手を置いて励ましていたのです。その温かい光景に、私も思わずもらい泣きをしてしまいました。コンテストには常に「勝ち負け」が伴います。しかし、それを超えて児童たちが互いを思いやり、励まし合う姿には、勝ち負け以上の価値があると感じました。

 

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