校長 大城 賢
2024年度4月より学校長を務めております大城賢です。琉球大学教育学部及び大学院(修士課程)を修了し,公立中学校及び高等学校で15年間英語教育に携わりました。その後,沖縄国際大学で9年間,琉球大学で16年間勤務し,第二言語習得,英語教授法,早期英語教育,イマージョン教育,外国語教育政策を専門分野としてきました。
さて,イマージョン教育は,児童・生徒の母語ではなく,第二言語を教育用語(ほとんどの教科を目標言語で教える)として用いる言語教育プログラムの一形態です。カナダのケベック州(フランス語圏)が発祥の地で,1960年代に,英語話者の両親が,フランス語のバックグランドが全くない子どもたちに,高いフランス語能力を身に付けさせたいと思ったことから始まったプログラムです。その後,このプログラムは保護者や研究者から高い効果が認められ,急速に北米全体及びヨーロッパに普及していきます。外国語教育で著名な研究者の一人であるKrashenは「イマージョンほど成功したプログラムは存在しない」と述べています。
その後,私はKrashenの言葉に引き寄せられるように,イマージョン教育の文献を読み始めました。そして2005年度から2007年にわたってアメリカの日本語イマージョンスクール及びスペインの英語イマージョンスクールを調査する機会を得ることができました。児童・生徒の語学力の高さには圧倒させられました(「地域に根差した英語教育の総合的研究」科研費研究成果報告書,2008年参照)。その後,アミークス国際学園が設立され,私は設立以来,何度も本校を訪問し,児童・生徒が高い英語力を身に付け,日本語力を維持し,適切な学齢レベルの教科内容を修得していることに驚きました(「日本における英語イマージョン教育の成果と課題:沖縄アミークス国際学園の事例」,英語検定協会委託研究,2016年参照)。
前述したイマージョン校における共通した理念は言語や文化が多様であればあるほど,お互いを理解するためのツールとしての外国語能力が必要であるということです。それがないとお互いを理解できず争いが起こります。しかし,さらに重要なのは,「外国語を使えるだけでは意味がない」という考えです。言語,文化,価値観が多様化すればするほど,自分で考え,学び,行動し,自分の将来を自分で切り開く力を育成することが重要です。これは,まさに,アミークスが掲げる教育理念そのものです。
今後は,私は参観者としてではなく,アミークスをさらに発展させていく重大な使命と役割を担うことになりました。社会は益々複雑化・多様化していき,予測不能な時代へと進んでいきます。児童・生徒が,高い英語力と,自分で考え,学び,行動し,自分の将来を自分で切り開いていく力を身に付けることができるように,教職員一丸となって日々精進していきたいと考えています。